2008年06月10日

いつまでも心に張りを

 ある福祉施設の職員が呟く。

 最近デイサービスに通い始めた80半ばのおばあちゃんのお嫁さんから「ここ数年めっきり元気がなかったのに、デイサービスに通いだしてから昔の元気を取り戻したって」。こんな言葉を聞くと嬉しいですねという。

 そのおばあちゃんが元気をなくしていたのには理由があった。同居するお婿さんが、定年後、再雇用を終えてから、それまでおばあちゃんにとっての楽しみだった畑に来だしてからと、時を同じくする。

 おばあちゃんにとって、毎日水を入れたバケツを自転車で運んで水やりをし、草取りや肥料を与えて、愛情をかけただけすくすくと育つ野菜の成長が心の糧で、婿さんが来だして畑から遠ざかるうちに、張り合いを失ってしまったという。

 お年寄りになれば、昔のことはしっかりと覚えていても最近のことは忘れがちなのは当然だが、さっき食べた朝ご飯を食べてないと言い張り、食事に行って他人の靴を自分の靴だと家まで気付かず履いたまま帰ってくる、いつも縁側で庭をぼーと見つめている。

 そんなことが続いて、心配した同居する娘さんが脳を調べてもらうため病院で検査したが、異常はなかった。


 日々生活する上で、心の張りは齢を重ねても必要なのだと・・・  


Posted by どんぐり at 18:12Comments(0)