記者クラブがないと記事が書けない記者
「記者クラブ」という一般の人には耳馴染みのない組織がある。
市政や県政をはじめ、警察、運動部などさまざまな分野に存在する。
国民、市民の知る権利を守るため、また自分たちの活動を紹介しPRしたいという双方の思惑が一致して長い間日本に存在してきた。
日本特有の制度である。
豊田市役所にも存在し、毎日「市側」からさまざまな情報が入ってくる。新聞各紙を購読している人は分かるが、同じ記事が各社に載っているのは情報源が同じだからである。
記者としての能力を高めるためには必要悪だと思う。
確かに横並びで情報が手に入り、掲載できるが、人脈をつくり、独自の情報源を構築しなくても情報は手に入ってしまう。
横着できる仕組みだ。
記者クラブからの情報だけがネタ元だという認識が当たり前になると、しっかりと広報していないことを批判することが口癖になる。
記者からすれば、「広報されていないということは、うちだけの特ダネになる」と思う方が普通な感覚なのだが。
うちのような新聞では、記者クラブに届けられるネタもとの記事を書いていては存在する意味がない。いわゆる全国紙を取ったうえに、より地域密着な情報を求めて購読していただいているからだ。
はっきり言って、トヨタ自動車や名古屋グランパスの記事を取り上げてどうする。中日新聞を見れば、毎日載っている。
地域に密着して生きて、生計を立てている人に対して、地域密着の情報や話題を提供する。
地域外の東京や大阪、名古屋の人に読んでもらっているわけではない。
これが使命であり、存在意義であるにもかかわらず、不特定多数に対して最大公約数の話題を提供していては消えていくだけ
地域新聞でありながら、日刊紙と同じ記事を掲載し、全国で廃刊している。