トヨタの入社式を取材②

どんぐり

2008年04月03日 11:07

 トヨタ自動車ではここにきて渡辺捷昭社長(豊田市出身、岡崎高、慶應大卒)から各部長たちに、頻繁に厳しい言葉が投げかけられているという。

 昨年は生産台数でGMを抜いて世界一となり、販売台数もグループ全体で937万台と16年連続で新記録を達成。その中でトヨタは「No1」「フロントランナー」として、社員自らもそして周囲も「トヨタは安定している」「将来は安泰だ」と思われている。しかしここにきて会社を取り巻く環境は急激に悪化している。世界経済では、昨年後半からのサブプライムローン問題に端を発する米国経済の景気後退、予想を超える急速な円高、原油をはじめとする資源価格の高騰など21世紀に入ってトヨタ自動車にとって幸運だった外部環境がわずか数カ月の間で一変。また、途上国経済の急激な発展で地球温暖化・資源枯渇など環境・エネルギー問題への対応は、先進国だけではなく、世界的な課題となり、「世界的な関心の高まり」という他人事から、「世界中で実行に移す」という段階に入ったということが背景にあるという。

 世界展開し、多くの従業員を抱えるトップの危機感は、周囲からの「安泰だ」という声とは対照的。会議のたびに「世界の潮目が変わった」と熱っぽく訴えるなどその意識は相当強い。そして、それを従業員にもしっかりと持たせるため、各部でさらなる向上と工夫を求めているのだとか。